第51回創展によせて       2017・9・吉日

創展に於いて最優秀賞である文部科学大臣賞に輝いた、会員新藤道典氏の画題”共生”(S100号・アクリル)について所感を述べ、新藤氏の栄誉を称えたいと思います。

画題の”共生”は新藤氏がごく身近な風景である個人の庭に、共に生き延びる植物に対し、深い共感と愛情の眼差し向け、丹念なスケッチを重ねて、ありふれたモチーフでありながらロマンを感じさせる絵画芸術の世界を出現させた秀作であると評価されました。審査会では美術評論家の先生方は勿論、会の選考委員全員の賛同で文部科学大臣賞の決定を得ました。
この近年、新藤氏の絵画制作の技量は一作品ごとに急速な進歩を遂げており、第51回創展に於いて大きく花開く結果となりました。画面構成も良く、大きく張り出した芭蕉も独特なマチエールで描き出され、周囲の草花の描写も丹念に愛情を注いで描かれて居り、”共生”の画題にふさわしい安堵を感ずる雰囲気を醸し出しています。新藤氏の絵画芸術に対する日頃の探究心は会員の範たるものである事を付け加え作品の紹介、受賞の経緯、所感を述べました。
今回51回展は昨年末に亡くなれた前会長木間明先生のご提示になった”韻く”が会の課題となりました。搬入日には会員、準会員、会友の作品の他に、一般公募に参加された50余点の作家の作品で審査会場は賑やかでした。創展に初参加の画家の中で、多くの実力ある画家の絵画に触れ感激しています。
第51回創展は、9月27日(水)から10月5日(木)迄、10月2日(月)は美術館休館、上野東京都美術館で開催されています、入場無料ですので、お気軽にお越しください。約120点の力作の中には人気画家も居ります。創展の持つ伝統”自由・闊達”の中でこの様に会員がのびのびとその個性を発揮している展覧会も今や数少ないと思って居ります。美術愛好家は勿論、多少ご興味のある方々、どうぞお気軽にお越しの上、楽しくご鑑賞ください!お待ち致して居ります!           
 
                                                                創作画人協会会長 森   務
第51回創展 文部科学大臣賞 新藤道典
 

  文部科学大臣賞 授賞式

第51回創展・秋季展を振り返って             2017・10・6

9月27日から10月5まで開催された第51回創展には50回記念展に引き続き3100余の多くのお客様にご来場頂き、創展開催責任者として本当に嬉しい限りです。
毎年、終わってみて感ずる事がいくつかあります。今年の創展の際立った印象は要約して3つありました、一つ目は一般出展作品が昨年の記念展に引けを取らず多くの作品が集まった事です。二つ目はその作品群の中には私にとって見ごたえのある感動的な作品が幾つかあった事です。三つ目は、理事、会員、準会員、会友、一般共々いずれの作品も自由闊達でのびのびとした作品が多かったことです、このことは授賞式のご挨拶でも述べたように創展創立の理念が脈々と今日迄も受け継がれている印象でありました。創展の理念の一つにある”如何なる既存の権威や団体などに左右されない自由闊達な芸術運動推進が大切である”としている姿勢そのものの表れと思います。
協会賞を受賞された、一般出展の吉田さんのペン画”秩父の古民家”は圧巻でした。制作は現場主義を貫き1年余の歳月をかけての制作は気が遠くなる様なひたむきなものを感じさせます。会員努力賞を得られた佐野会員の雪の五重塔を描いた”冬景色”は何度も京都に通い精魂を傾けた傑作で、さながら、雪の降る五重塔を目の当たりにしている様でした。一般出展では新人賞に輝いた”月逍歌”の菅井さんの日本画も見事でした、画家の思いが迫って来る様な雰囲気を醸し出していました。更に一般出展の奨励賞を受賞された小山さんの”桃色の風に吹かれて”他バラを描いた3点は絵の技巧もさることながら女性らしい優しい眼差しを感じ、心が和む絵でした。アートギャラリー月桂樹賞を受賞された、三浦会員の”別離”は一見すると、着物姿の幼い子供が今にも泣きそうな顔をして母親らしき人に手を取られて花火見学の帰路についている絵ですが、画題”別離”とのミスマッチが何か?気になって作者のお話しを聞き、改めて作家の幼児期の悲運を表現したその絵の心の叫びに感動しました。絵の表現・技巧も賞にふさわしい佳作でしたが、本当に心を打たれた絵でした。木村会員の”憤怒”は300号の圧巻の大作で、その一部分は既に創展に出展したものですが100号3点を組み合わせて初めて作者の思いである画題の”憤怒”が表現される絵と理解をしました、絵画技巧もレベルが高く、現代社会に根ざす様々な矛盾を鋭く観察し表現した力作で、鑑賞されているお客様の多くが共感し足を止めた絵でした。創展賞に輝いた萬会員の”萌芽”は実に美しい絵でした、白い孔雀が全身を以て媚態を表しているような表現は多くの鑑賞者の足を止めていました。創展の大賞である文部科学大臣賞を受賞された新藤会員の”共生”は勿論、評論家、選考委員一致して推挙した絵で、新藤会員の絵に向かう姿勢、日頃の作者の哲学・人生観に根ざす温かみが如何なく表現された秀作でした。今年も紙絵、ちぎり絵の作家の方々の出展がありました。奨励賞を取られた浅見さん町田さん他多くのリダー格の作家が出展されるこのジャンルは、今や創展に欠かせない存在になりつつあります。
終わってみるとアッと言う間の一週間でしたが、この会の持つ自由闊達な気風を大切にしていかなければいけないなとつくづく感じた第51回創展雑感です。
     
                              森   務
 
吉田 迪子

 

■作品名 :片隅に

162×130

■作品名 :秩父の古民家

162×130


 
佐野 和利
≫≫ 作品

■作品名 :冬景色

194×130

 
菅井 淳子
≫≫ 作品

■作品名 :月逍歌

145×97

三浦 眞彌子
≫≫ 作品

■作品名 :別離

165×133

木村 巴
≫≫ 作品

■作品名 :憤怒

130×486

町田 政江
≫≫ 作品

■作品名 :奥入瀬水音

72、7×53

■作品名 :晴日木曽路

72、7×53

浅見 元子
≫≫ 作品

■作品名 :noise

91×72,7

 

森 務

■作品名 :月の曲べ

162×130

■作品名 :奏でる

162×130

         

 

 

      第4回 木村巴個展について                                                                                                              2017・5・9

風薫る5月9日から14日まで、創展の理事会員の木村巴さんの個展が町田市立国際版画美術館市民展示室に於いて華々しく開催されました。

創展会員の中でも特にきわだっ描写力と絵画に対する真摯な制作態度、その感性が高く評価されている作家でもあり。文部大臣賞受賞作品の100号”帰宅”2点を始め、小品を含めた45点は本当に見ごたえがある作品群でした。圧巻は大賞を受賞した憤怒は4作の連作で芸術性豊かな作品群であると同時に社会性を持つ問題作として特に高名な評論家からも高く評価されていいます。高校在学中から本格的に目覚めた絵画に対する情熱は結婚、子育て、仕事、病魔と、ある時は苦境のどん底にあった時期もあった様ですが、持ち前の強靭な精神力で乗り切って今日の地位を築き上げ、見るものを感嘆させる高い絵画芸術性を備えた木村巴ワールドに知らず知らずのうちに誘われてしまいます。新緑の森に囲まれた版画美術館に、皆様、是非お足をお運びください。              森 務

 

 憤怒 50号F 伊東市所蔵

お知らせ

 

                 

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森  務
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■作品名 : ベルカステルの朝

ベルカステルの朝

フランス南西部、ミディ・ピレネー地方の山村、ベルカステルは聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼街道の休息地、訪れたのは初夏であった、谷が深く、小さな川沿いにへばりつくように建てられた木造で石造りの家々は不思議な光景であった。家々は花々で美しく飾られ魅力的であったが、先ず、ベルかステル橋に奇妙な魅力を感じた、橋の中央付近に石の十字架があり、此処は本当に異国なのだとの思いを強くした。中心に聳えるベルかステル城は宗教戦争で荒廃したが、修復されて今はアメリカ人の所有になっている。橋のたもとの宿は石作りの古い建物であったが、アメリカンスタイルの快適な部屋であった。画のモチーフには事欠かないので、ゆっくりスケッチを楽しんだ。49回創展では、村の姿をそっくり画いてみたいと思い、取り組んだ結果、何とはなしに朝の風景になってしまった。                                                                                                                             

 

■作品名 :コンク村にて
 

コンク村にて

フランス南西部、ミディ・ピレネー地方にあるコンクはスペインにあるサンティアゴ・デ・コンポステーラに向かう巡礼街道の重要な休憩地。ロマネスク様式の立派な教会もあり、教会内部に案内してもらい屋根裏の回廊を歩き回ったり、夜、賛美歌のコンサートを聴きに行ったり、80歳の元気なアリス婆ちゃんの家に招かれたり、楽しい思い出の村であった。

絵のモチーフには事欠かない村であったが、ろくにスケッチもしていない。

村はずれの細道で、咲き乱れる薔薇と巡礼の男性を見かけたので、絵にしてみた。

                                                                                                                                         

 

お知らせから、脱線致しますが、私の関係するアートギャラリー月桂樹(埼玉県坂戸市南口駅前、TEL049-283-3377)では、地元作家の個展が開催されています。具象芸術の実力派の作家ばかりで、瀟洒なギャラリーの人気と共にご来場者が急増しております。是非、此処も楽しい絵画観賞のスポットとしてご利用下さい。                     

 
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■作品名 : 大樹のある風景(朝明け)
 
課題 “謳う”詩 “大樹のある風景(朝明け)”
 
自然の営みは黎明と共に訪れる!

小鳥のさえずり、木々の枝、葉のざわめき、そして大地は大きく呼吸し始める。
 
人や家畜の営みは朝もやと共に始まる!

人々はきっかりと目を覚まし、いそいそと身支度をし、互いにさわやかな声を掛け合う、羊たちはもうとっくに朝の
 
食事に取りかかっている。

大樹のある田舎道、何時もの村の営みがもう始まった!

教会の鐘の音は正確に時を告げ、私はスケッチブックに朝の詩を走り描く!       
 
森   務
 
 
 
■作品名 : 古い城趾のある風景(夕暮)

課題 “謳う”詩  “古い城跡のある風景(夕暮れ)”


夕暮れの色は華やかに、しばしの間輝き、風景はやがて漆黒の闇に埋没する。


時の流れは、繰り返し、又繰り返し、長々と続く!


血なまぐさい争い、喧噪、慟哭、其れも又繰り返し、繰り返す!


歴史を刻むものは誰!廃墟に佇む人も我れ!過ぎ去った時の流れ!

血紅色に血塗られた廃墟は空しく!水面に浮かぶ白鳥もこの風景を変えることは出来ない。


夕暮れ!血塗られた廃墟の前で涙し、筆を執る我れ独り!


*半世紀振り、正確には62年振りで、詩を綴る事にしました。多感な頃!中学生時代!仲間と会(月桂樹会)を作り、詩作を競った思い出があります。毎年、出展作品に短いキャプションを書いています。第48回創展の課題が“謳う”ですので、単なる文章キャプションでは、面白くないな?と思い、詩にしてみました。ご高評をお願い致します。     森   務

 
 

 
 
 
2013創展ギャラリー 2013年の展示作品です。   ←クリックするとご覧になれます。

 

 

 

城門のある風景


パリ郊外の小さな街、3・4回訪れているのだが、街の名前が出てこない。

かの有名な画家も対岸から街の風景を描いているのだが、その画家の名も思い出せない。

とにかく、何時も、何処でも絵になるお気に入りの街であり、余り美味しくはないが、有名な菓子屋もある!今迄に、スケッチを含め何枚も描いた街並みである。然し、今回、春季展の30号はなかなか筆が進まず、街の雰囲気を出すのに苦労させられた。

 

何時も感ずる事だが、本当にわくわくする程ヨーロッパの街並みは、何処でも絵心を誘う。

然し、今回はピーンと来なかった!思うに、!我が身の体力・気力が間違いなく萎え、衰えて感性が磨かれていない事かな?と感じていた時、正に!今年1月、目出度くもない喜寿を迎えた。いよいよ加速度を増す老化!無茶苦茶でも、やはり若き日の充実した気力が懐かしい!今、この絵をご覧頂いている方々に感謝と御礼を申し上げつつ・・・! 森  務

 

春季創展を振り返って
4月20日-26日迄、有楽町の交通会館で恒例の春季展が開催された。例年の如く、30号迄の少品が約50点展示され、多くのお客様のご来場を得た。日本画あり洋画あり、作家はそれぞれの個性を自由に発表する機会を大事にしている様子が伺え、盛会に終えたと感じている。
私は城門のある風景、油彩30号を出展させて貰った。パリ郊外の小さな街並を城門の外側から描いた作品で、何度も訪れているお気に入りの街並みである。
展覧会後、連休を利用して、千葉市土気にあるホキ美術館に2日間通い、超写実主義の絵画に触れて大いに触発された。ホキ美術館に収蔵されている作品群は何れも見事な作品で、久し振りに感動を覚えた。
収蔵作品の第一人者である野田画伯の“写実は哲学である”という言葉に触れて大いに共感を得たので、画伯の少品“夏椿”も購入させて頂いた。連休は久し振りに良い勉強の場となった。

改めて自分の作品を手にとってみて、如何に自分の技量のなさを誤魔化し、感性の発露を間違えて発表していたことに気付かされる日となった。77歳喜寿を迎え、もう遅いと感ずるか?これからがスタートだと決意するか?私は決然として後者を選択する事にした。然し重要なファクターが立ちはだかっている現実を、今ひしひしと感じている。其れは体力、集中力の維持である。老化ハンデキャップをどうするか?どうなることか?不安はあるが、これから残された時間を無駄なく利用して、死を迎えるその日まで、頑張る決意をしたい!                      森   務

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